「芝浦」21世紀に向けて
「エレクトロニクス」「メカトロニクス」「ハイテク」「情報化社会」等々、高度技術の目ざましい発展を裏付ける用語が巷に氾濫し、世の中はますます加速度を加え乍ら目まぐるしく変貌している。
こうした超スピード時代に即応する大学運営の在り方は?こうした日進月歩の科学や技術に対処するために、理工系の大学や学部は懸命の努力を傾けている。
大学の本来の存在目的は、次代の人材育成にあることは自明の理であり、加えて人間のためのよりよい豊かな環境作りを目ざす教育と研究がなさることであろう。
芝浦工大においても、こうした社会の大きな変革ムードの中にあって、その運営は将来に向けての堅実な発展を踏まえ、広い視野と考慮の上に立って数々の試みがなされている。今回はその主立った項目について簡単に紹介したいと思う。
- 田町校舎の移転問題(港南移転計画)
これは東京都による東京湾の港南地区(浜松町から品川辺りまでの海岸地帯らしい)における整備再開発構想に関わる問題である。実施時期については一応今後10年以内程度との噂もあるが定かではない。高層建築と広いスペースと緑の湾岸に生まれ変わるらしい。この計画が進むと芝浦工大も移転を余儀なくされ、現在地よりも駅から倍近く遠い地点になるとのことである。而し考えてみただけでも大変な大事業故に、倍の年月をかけても可能性に疑いを持ちたくなるのだが...。 - 新学部開設問題(行田新学部計画)
これは新しい第3のキャンパスに「システム工学部(仮称)」を開設しようとするもので、これは現在社会が必要とする様々な要因に対応し、創立60周年を迎えた芝浦工大の更なる雄飛と、特色ある大学創りの一環でもある。
現今の科学技術の発展やハイテク化、更にコンピュータ技術の普及にともない、多様な能力を持った技術者の要請は次代の当然な姿であると云えよう。すでに実社会では、新しい研究・開発に対して、例外なくプロジェクトチームを組んで事に当たっている姿が、その事を如実に物語っていると云えよう。
目下のところキャンパスは埼玉県の行田市、取り敢えず開設の目標として電子情報、機会制御、環境の三つのシステム工学科が予定され、66年開設を目ざし全学一致して事に当たっている。 - 「情報教育センター」の開設
これは既に62年4月より発足されており、その目的は「新しい時代に向けて本学の教育・研究基盤を充実強化する」ことであり、現在はセンター長をはじめ数名の専任職員を擁し、最初の研究部門として「バイオメディカル・エンジニアリング(BME)部門」が指導している。将来は社会的要請の面から、「防災・自然環境制御部門」の設立が考慮されつつあり、更に多方面への発程を期している。 - 二部学科問題(二部学科増設問題)
これについては新しい大学作りの一環として、二部の見直しがされており、次の二点をその問題点としている。
イ. 従来の修学年限5年を4年に改める。
ロ. 新しく二学科の増設をする。(建設系1学科、電気系1学科) - 「スーパーコンピュータ」の導入
去年ファコムのスーパーコンピュータ(VP-30)が導入され、その高度な性能は今後教育研究に益々大きな成果をもたらすことであろう。特に大宮校舎では120台の端末機が2号館の一室に設置され壮観である。学生のCAD教育等にも1クラス同時に対処が可能であり、現在のところ他校からの参観者もかなり来校されている模様である。 - 田町、大宮キャンパス整備計画
これについてはここ7ー8年の間にかなり変化充実がなされてきた。大宮キャンパスにおいては8,000坪の隣接地購入、第2体育館や新学生食堂の建設、大学会館の内外装改装、単独塔となった生協の移転、学内寮の廃止取壊し、2,3,4号館及び図書館の冷暖房設備(10月完成予定)等が挙げられる。田町キャンパスにおいては外装改装、相当数の教室、研究室の改装、大学中枢機能や事務系統、会議室等の本館への集中配備改装等が挙げられる。こうした整備の結果、玄関を入った途端に廊下は殆ど無くなっており、久し振りに訪れる人達にはしばし戸惑いを感じさせるのではないかと思われる。
また機械工学科内の話題としては実験設備の充実、工作室の移転、カリキュラム、CAD教育と設備、卒業総単位数、就職関係等々、紹介したい事柄も多々あるが紙面の関係で割愛し、またのチャンスに譲ることとする。OB諸兄の益々の御健勝と御活躍を心より祈るものである。
1988年9月25日 第6号より
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